すうさいどみっしょん

A suicide mission is a task which is so dangerous for the people involved that they are not expected to survive.

『紅殻のパンドラ -GHOST URN-』 第5話「通信障害 -システム・ダウン-」 感想 ビヨンド


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今回のお笑い要員はブエルでした。

 

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突っ込まれまくるブエル。特にクラリンに首折られて気を失っちゃうブエルが良かった。あとは下ネタ言おうとしたらクラッシュされてぺちゃんこになっちゃうのも。クラリン、タクミちゃんへのツッコミはちょっと軽めだけど、ブエルには全力でいくのがわかった回である。

 

禅問答

福音は、試したいことがある、と公園へ行き、パンドーラデバイスからジャグリング機能を引き出し、それを人々に披露し喜ばれる。しかし福音はパンドーラデバイスを使うことに迷いが生じる。

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クラリオン「これは福音が望む世界平和につながる一歩とは違うのか?」

 

福音「やっぱり、よくないと思う。だって、あの力はクラリンのものだし。」

 

クラリオン「クラリオンは福音のものだ。」

 

福音「他人の力を自分のために使うのはずるいよね。」

 

クラリオン「ずるい?公正でないという意味か?」

 

福音「うん。」

 

クラリオン

「世界平和は福音ひとりで成し遂げることができるのか?他人のちからは不正か?元から福音のものなら公正?最初から福音のものはどこからどこまでだ?」

 

福音「うん、そっか。ぜんぶわたしのじゃないや。わたしはわたしをもらったの。おとうさんやおかあさんじゃないみんなから。だからわたし、ちょっとだけずるいんだよ。」

クラリンが畳み掛けるように福音に疑問をぶつけていくシーン、禅問答のようで素晴らしかった。アンドロイドであるがゆえに福音の葛藤を理解できない。しかし世界平和を実現させるには福音一人のちからではできないことを情報として認識している。パンドーラデバイスの力を、他人の力を借りてでも世界平和を実現することの方が大事だ、と暗に説いているかのようだった。

 

福音のジャグリングを見た車いすのおばあさんが現れ福音のことを褒める。福音は「わたしがすごいわけじゃない。」と本心から答える。しかし事情を知らないおばあさんには謙遜に聞こえている。そしておばあさんが義体化した右腕を見せリハビリの大変さを語り、自由自在に義肢を操れる福音のことを素直に感心してみせる。

 

おばあさんに褒められご褒美としてアメを渡されてもまだパンドーラデバイス使用に対する福音の迷いは消えない。

 

ところで今回は変身したのに福音ってバレてたな・・・。

 

福音が「クラリンです。」と紹介するとクラリンが「クラリオン」と訂正するくだりが良い。三回くらいあったけど常に無視されるクラリン可哀想・・・。

 

通信障害 -システム・ダウン-

通信障害によりセナンクル島の基幹システムに異常が発生、島全体が混乱に陥る。そんな中、CDFのロバートさん登場。「性分でね。」と言いながら人助けをしていく。福音とクラリオンもそれを手伝う。ロバートさん、ええ人や。

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人助けを終えた三人が歩いていると、どこからともなく悲鳴が聞こえてくる。すると黒柳徹子が強盗に遭っているところだった。クラリンとロバートさんの素早い動きで強盗たちは瞬殺される。

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ここでの見せ場はやはりクラリンだろう。一瞬で福音を危險にさらすわけにはいかないと判断し強盗を追いかけようとする福音の動きを制する。クラリンが優秀なアンドロイドであることはわかっているが、それを視聴者に印象づけることは大事だ。

 

怒ったクラリンかわいい。

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ロバートさんと別れた福音とクラリンは、先ほどのおばあさんが道に倒れているのを発見する。システムがダウンしているため救急車を呼ぶことすらできない。困り果てる福音にクラリンが再び禅問答を投げかける。

 

「やりたいことがあるのなら、パンドーラデバイスを使えばいい。」

「持っている力を使わないのは公正か?使うのはずるい?」

 

クラリンの言葉を受け、福音にはおばあさんを助けたいという強い気持ちが生じる。そしてパンドーラデバイスでパラメディック能力を発動させ、「わたしのちからじゃないけどアンナさんの役に立ちたい。」とおばあさんを助けることに成功する。

 

病院に収容されたおばあさんは意識を取り戻す。そして、福音が全身義体であることを知ると、おばあさんはそのことに驚きながらも、「ネネちゃん、良かったわね。」と告げる。おばあさんは事故か何かで手を失い、腕の義体化をしたのだろう。自分の体験から、福音がとてつもなく大変な目にあい、全身を義体化したことを余儀なくされたと思い込んだに違いない。だから、まるで人間と同じように、いや人間以上の働きができる福音に、良かったわね、と告げたのだ。

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福音はそれを「初めて、褒めてもらった。」と喜ぶ。この「初めて」というのが重要なポイントだ。義体化は最新の技術であると同時にネガティブなイメージのつきまとうものであり、福音は全身義体化で命は助かったけどそれは決して「良かった」と言うことはできない世界なのだ。全身義体なんて可哀想。おそらくそうしたイメージがまだ存在しているのだろう。

われわれの世界でもそうだ。いまでこそ義肢や義足はチートと呼ばれるまでに進化し、生身の肉体よりも高い能力を有することができるようになった。しかし、腕がなくて足がなくて可哀想、という見方はいまだに根強く存在している。

おそらく福音は自分が可哀想だなんて思っていない。しかし、周囲の見方は違っていた。セナンクル島へやってくるまでは。そう、これは周囲の新しい見方によって福音が思考を変化させ成長していく過程を描いているのだ。

 

迷いの消えた福音にもう怖いものはない。たぶん・・・。

 

いじょ。

 

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