民放の作るドラマが絶望的につまらない。しかし日本にはアニメがある。ドラマや映画でできないことを日本人はアニメでやっていると言っても過言ではない。
また、アニメは金になる、ということに気づいた各局がアニメの量産体制に入り、ハズレばかりのドラマよりも確実に当たりが増えている。
先日、『劇場版 魔法少女まどか☆ マギカ [新編] 叛逆の物語』が興収10億円を突破したことが報じられた。深夜アニメ、がだ。*1深夜アニメの劇場版が興収10億を軽く突破する現実。当然、アニメで一攫千金という流れは今後も加速していくだろう。
ゴールデンタイムのドラマは視聴率を期待される。だからスポンサーのご意向に忠実な下僕スタッフが増加し、視聴者の多数派である高齢者に合わせてドラマが作られ、より保守的な傾向が高まっていく。一方、視聴率をさほど期待されない深夜アニメでは、意欲的、実験的なものが創られている。その結果アニメの方がドラマよりも圧倒的に質の高いものが増えた。日本のドラマにハリウッドドラマのレベルを期待するのは、もはや制作費の面でも不可能である以上、低予算で創造できるアニメに期待するのが、世界進出という点では現実味がある。
さて、『あの花』について。
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 超平和バスターズ,泉光
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/03/19
- メディア: Kindle版
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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 2 (ジャンプコミックスDIGITAL)
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 3 (ジャンプコミックスDIGITAL)
青春恋愛群像劇の代表作、と言えるこの作品は、不慮の事故で他界した幼馴染みの幽霊を軸としたことで成功した。
本来であればドラマ制作されるべきドラマ的な物語がアニメを通して創造されている。例えば、この10年を振り返って青春恋愛群像劇の代表作と呼べるドラマ作品が果たして存在するだろうか?ここ数年で言えば、僕はそんなドラマを一つも知らない。過去に遡れば『愛という名のものに』のような時代を代表する作品を見つけることができる。しかし、いま、過去のドラマに匹敵する作品を見つけるとなると、アニメから探すしかない。それくらい、ドラマ制作の現場は堕落している。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』は、過去10年間に制作された日本のドラマ、アニメ全てと比較してもベスト10に入る名作である。
*1:深夜アニメの劇場版では他に、『映画「けいおん!」』『劇場版 あの日 見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が興収10億円を突破している。